スタジアムでサッカーを観戦するのって、なんとなく敷居が高いと感じたことはありませんか?
「服装はこれで大丈夫かな」「席を間違えたらどうしよう」「変な場所に座ってしまったら浮いてしまうかも」――テレビ観戦とは違って、現地に行くとなると、こういった不安が一気に増える気がします。そんな不安、実は私も一度、しっかりやってしまったことがあるんです。
まず知っておいてほしいのが、
スタジアムの客席は大きく「ホーム側」と「アウェイ側」に分かれているということです。
ホーム側はそのスタジアムを本拠地にしているチームのサポーターが集まるエリアで、チームカラーのユニフォームやグッズで埋め尽くされ、応援歌も一体となって盛り上がります。アウェイ側は、対戦相手を応援するために遠征してきたサポーターのための専用エリア。応援する色も、盛り上がるタイミングも、当然まったく逆になります。これを知らずに観戦に行くと、思いがけず気まずい状況になることがあるんです。

私の場合
私の場合は、ヤマザキナビスコカップの決勝、湘南ベルマーレ対浦和レッズの試合でした。その年のタイトルの行方が一発で決まる大事な一戦だったので、スタジアムはいつものリーグ戦以上に熱気に包まれていました。開場の時点から、両チームのサポーターがそれぞれの一年をかけてこの日に向かってきたんだろうな、という本気の空気が伝わってきたのを覚えています。チケットがほぼ完売だったこともあって、気づいたら私の席は浦和レッズのサポーターが集まるエリアのすぐ近くだったんです。

試合は湘南ベルマーレが勝ちました。
私はどちらか一方のファンというより、純粋にサッカーそのもの、それに決勝戦という一発勝負の雰囲気を味わいに行っていたので、両チームのプレーに素直に反応していました。そしてベルマーレが決めた大事な得点の瞬間、周りのため息と対照的に、私は思わず大きくリアクションしてしまったんです。
その直後、周りのレッズサポーターから向けられた視線は、今でもよく覚えています。
決勝戦という特別な舞台だったからこそ、いつも以上に空気が張りつめていたんだと思います。それでも席を移動する勇気は出ず、そのまま最後まで見届けました。結果はベルマーレの優勝。本当なら嬉しいはずの瞬間なのに、その喜びを一緒に分かち合える人は、周りに誰もいませんでした。少し離れた表彰式の歓声を、ひとりでぽつんと聞いていたのを、今でもよく覚えています。

この経験をしてから、周りの人に聞いてみると、似たような話は意外と多いことがわかりました。
- チケットを取るときに座席エリアを確認せず、気づいたら自分の応援したいチームとは反対の、アウェイ側の席になっていた
- 2階席のつもりで買ったのに、実は3階席だった、というような座席の階層の見間違い
- 天皇杯のように中立の会場(国立競技場など)で試合が行われる場合、そもそもホーム・アウェイの区別がはっきりしないので、どちらのエリアに座るべきか迷ってしまう
考えてみると、こうした「知らなかったから起きた」失敗は、きっと珍しいことではないんだと思います。マナーがなかったわけではなく、ただ事前の情報が足りなかっただけ。これが、スタジアム観戦に敷居の高さを感じてしまう正体なのかもしれません。知らなかったら誰でも同じことをしてしまう、と思えば、少し気が楽になりませんか。
私自身、あの日は特に誰かに注意されたわけでも、スタジアムから出るように言われたわけでもありません。あったのは「気まずい視線」と「ひとりぼっちの気持ち」だけでした。それくらいのことなら、知っていればほとんど避けられる話なんです。
振り返ってみると、防げたポイントはそう多くありませんでした。
- チケットを買うときに、座席図でホーム側・アウェイ側がどちらかを確認しておく
- 天皇杯のような中立開催の試合は、ホーム・アウェイの区別がないぶん、特に事前の確認を忘れない
- 応援するチームが決まっていない場合は、目立つ色やグッズを避けて、無地の服装で行くと安心
このくらいを意識しておけば、私が経験したような気まずさは、かなり防げるはずです。

これから初めてスタジアムに行く方
誰かを初めて誘う立場の方は、座席エリアだけ事前に確認しておけば十分だと思います。
あとは思いきり、その試合を楽しんでください。「敷居が高い」と感じていたことの多くは、実はちょっとした情報不足だったんだな、と今回の経験を振り返って感じています。知ってしまえば、次はもう怖くありません。
スタジアムの空気は、テレビの画面越しには伝わってこない独特の熱があります。その場の一体感も、逆に今回のような気まずさも、ぜんぶ「現地で観る」からこそ味わえるものだと思っています。少し勇気を出して足を運んでみれば、きっとその魅力に気づいてもらえるはずです。

